Lighting Designer/照明デザイナー

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前方視野の明るさ感と空間全体の明るさ感の整合性

学会などでは、前方視野の明るさ感は、視野内の平均輝度で推定できるとしています。
ただ明るさ感には、前方視野の明るさ感だけでなく空間全体の明るさ感もあり、当事務所が提案している明るさ比較指標(BCI)は、空間全体の明るさ感を対象としています。

この二つの評価指標は考え方が異なりますが、以前より、前方視野の明るさ感推定値は、その算出に用いる視野を部屋全体近くまで広く設定すれば、空間全体の明るさ感推定値と近い値に換算できるのではと思っていました。
そこで簡易的ですが検証を行ったところ、かなり近い値に換算できました。

具体的には、視点を正面の壁に近い場所から徐々に遠い場所まで変化させて視野を広げ、それぞれの視点における視野内の平均輝度と、当事務所が提案しているBCIを比較することとしました。
但し、室内各面を均等拡散面と仮定すると輝度は光束発散度と比例関係にあるため、室内の間接照度の対数をとった値であるBCIと比較しやすいように、ここでは輝度の代わりに各視点における視野内の平均光束発散度を用いています。
またBCIも、対数をとる前の間接照度を用いて比較しました。

視点は図のように側壁の一辺の1/5ずつ移動させて、それより前方の天井、壁、床の各面の光束発散度を計算し、面積加重平均にて前方視野内の平均光束発散度を算出しました。
(グラフにおける視点には、正面の壁だけを対象とする視点0と、室内の6面全てを対象とする視点6を追加しています)
部屋の大きさは4.5畳から10畳で、天井高さは2.4mです。
また反射率は、天井70%、壁50%、床10%です。
いずれの部屋においても、一定と見なした室内の間接照度が100(lx)になるように、規則配置した天井照明器具(拡散配光ダウンライト)の器具光束を調整しています。

グラフを見ると、視点が正面の壁から遠のいて視野が広くなると、前方視野内の平均光束発散度が100(lm/m2)程度となり、間接照度に近い値を取っていることが分かります。
これは、視野が広い場合、簡易的には視野内の平均輝度をBCIに換算できることを意味します。

これより設計の初期段階では、空間全体の明るさ感を間接照度で簡易的に計算しておいて、詳細な検討が必要な場合に、前方視野の明るさ感を平均輝度にて計算する流れが効率的と考えられます。

上から
(画像1) 検証条件
(画像2) 前方視野例のイメージCG(視点A付近)
(画像3) 視点の位置と前方視野内の平均光束発散度の関係(間接照度が100ルクスの場合)
画像全て:©2025 Susumu Matsushita Architecture & Lighting Design Labo.

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